バッグ選びにあなたの価値観が現れる
きっかけは“疎外感”。そこから見えた日本と海外の違い。それぞれの人が持つ、本当の自分らしさをバッグを通して届けたい。
インタビュアー:
小坪 真由美(こつぼ まゆみ)
ライター兼アーティスト。
フードスタイリングからコンサルまで幅広く活躍。
自分らしく生きるwebマガジン「ADiOS 」主宰
はなす人:
伊佐治 真美(いさじ まみ)
(株)JENNA 代表取締役。
Vimodaをはじめ、フランスやイタリアのブランドを扱う。
イラストレーターとしての一面も。
小坪:今日はVimoda代表の伊佐治さんに『バッグ選びにあなたの価値観が現れる』というテーマでお話を聞きたいと思います。よろしくお願いします。 伊佐治:よろしくお願いします。バッグ選びに価値観が現れるなんておおげさな、と思われるかもしれませんが、今までたくさんのお客様、たくさんのバッグ、そしてヨーロッパと日本の違いを見てきて、女性のバッグ選びにはその人の価値観がすごく表れていると感じています。 小坪:バッグを選ぶときは、デザイン重視で買うことが多いですが、会社員時代は書類が入るサイズなど機能から選ぶことが多かったですね。 伊佐治:用途が決まっていると機能面から決めざるを得ないことがありますが、日本では機能重視の方が多い印象です。そういえば以前はVimodaのフランスのサイトにはバッグのサイズが記載されていなかったんですよ。 小坪:えー!サイズが書いていないバッグの通販サイトなんて日本では考えられないですよね。 伊佐治:ありえないですよね。サイズの問い合わせが多かったのでVimodaにサイズを記載してほしいと言ったら『そんなことまでしたら仕事が終わらない!』と断られました!※現在はサイズ記載あり 小坪:えーー!断る理由それ(笑)!サイズを記載することの優先度の低さが伺えますね。 伊佐治:そうなんです。それで、イタリア人の夫にこの話をしたら共感してくれるどころか『え?バッグなんてデザインが気に入ったら買うものでしょ。サイズって重要??』って言われて。価値観の差をはっきりと感じました。 日本ではバッグを作るときにサイズはこれで、ポケットは何個でって機能から決めることも多いと思いますが、Vimodaを見る限りではデザインから決めて、機能は付けられたら付けるくらいに感じます。日本人からしたら、あと数センチ大きくしたら長財布入るのにって思うバッグも、フランス人からしたらこのサイズだからかわいいの!っていうことです。 小坪:買ったバッグに用途を合わせて使う。日本と発想が逆ですね。 伊佐治:はい。思い切って小さいバッグを持ってみる、そういう冒険をしてみるのも面白いと思います。使わないものまでいっぱい入れた大きなバッグを持ち歩いてる方ってきっと心配性なんだと思います。おしゃれな小さなクラッチで出かけるなんて考えられないかもしれませんが、その変化が行動や考え方にも変化をもたらしてくれるかもしれません。何歳になっても自由で身軽でいたいという気持ちがあります。 小坪:たしかに、色々もっていると安心。バッグって”枠”なんですよね。枠の中にいろいろあると安心する。でもいつもの自分の枠を外したら違う価値観がでてくるかも! 伊佐治:そうだと思います。バッグ選びはすごく心理的なことが関係している気がします。でも服と違って面積が小さいからいつもと違う色やデザインにも挑戦しやすいし、Vimodaなら1~2万円なので気軽にチャレンジできると思います。Vimodaはさりげなくおしゃれだけど行き過ぎていないデザインなのでトライしやすいです。 小坪:バッグを変えるだけで、一気にあか抜けて見えますもんね。 伊佐治:そうなんです~!なんでもないカットソーとジーンズ、スニーカーにエコバッグというコーディネートだとして、エコバッグをチェーンのついたクールな革のポシェットにするだけで急におしゃれ。ハイブランドの高いバッグを持てばいいというわけではなくて、全体のバランスや雰囲気がしっくりくるかも大事です。 小坪:今はコロナの影響でつい着古した服+エコバッグ、、みたいなこともありますが、出かける機会が減った今だからこそ、新しい気に入ったバッグで出かけたい! 伊佐治:それすごく共感します!出かける機会が少ないからこそ! 小坪:この新しいバッグはどこに連れて行ってくれるんだろうってわくわくします。気分が上がりますよね。 そうだ、私の歴代のバッグちょっとお見せしますね。その時その時の価値観が現れているのかな。 このピンクのバッグは丸っこくて小さ目で、、うーんなんかかわいいって思われたかった時代ですね笑 伊佐治:モテコーデとか男性受けするゆるふわ巻きヘアとかいう文言が雑誌によく出てた時代ですよね。日本では他人に”こう思われたい”っていう他人目線でバッグや服を選ぶことがあると思います。フランスやイタリアの女性を見ていると、自分がこれが好きだから!似合うから!って自分目線で選んでいて、他人目線で選ぶことってあまりないように見えます。 小坪:日本のバッグブランドでは、かわいい、若くいたい、ともすれば幼いようなデザインもありますよね。 伊佐治:フランスでは、リボンやフリルは少女のものという価値観があって、大人は身に着けないと聞いたことがあります。日本人は小柄な人も多く、そういうかわいいモチーフでも違和感がない方もいますが、女性は若いほうがいいとか、女性は男性より下の立場で守られる存在というような価値観が根底にあるかもしれません。 小坪:そういえば海外でリボンとかハートを付けてる大人の女性って見ないかも。。年齢に合った自然体な装い、振る舞い、そして内側からあふれる知性、そういうったものが感じられる女性ってかっこいいなぁって思います。 伊佐治:そうですよね!フランスやイタリアは、自立した大人の女性が尊敬され、年齢を重ねることをマイナスに感じず、成熟した考えを持つ大人の女性をポジティブに捉えている感じがします。印象的だったのが好きな女性有名人のランキング。日本は上位が10~20代の若い女優さんやアイドルが多く、イタリアは一位が40代の国民的女優で、他も年齢幅広くランクインしていました。 小坪:うわ~すごい違いですね。そういうことを聞くとバッグ選びには個人の価値観や社会背景まで反映されているって納得です。あとは大人の女性として、年齢を重ねることにポジティブでいたいって思います! 伊佐治:はい。年齢は重ねますからせっかくなら前向きに! 起業当初からVimodaを”ポジティブでエイジレスな女性に”向けて届けたいと思い、コンセプトにもそう書いています。 小坪:フランスのバッグブランドVimodaに出会い起業した伊佐治さんですが、そもそも海外のファッションに興味をもったきっかけってあるんですか? 伊佐治:そうですね~、、。さかのぼると17,18歳かな。背が170cm近くあって、足も大きいので自分に合う服や靴が見つからなかったんです。当時はZARAやH&Mのように気軽な値段で買える海外の服や靴のブランドって無かったですし、靴のサイズも今よりもっと限定的でした。ネット通販はないので、名古屋の街中歩き回って探しました。でも無いんです。日本のブランドでは袖の長さが足りないし、靴は無理して小さいのを履いていました。その靴で歩き回って探すから痛くて、、それでも一足も入る靴が無くて泣きました。選ぶ資格がないと言われているようで。 小坪:大半の人にとっては選べることが当たり前なのに。 伊佐治:それに私は、長身・男顔・大人顔で、かわいいとは無縁の見た目でした。知らないマダムグループに囲まれて宝塚(男役)に応募しろと言われたことも。。笑 小坪:それすごい。 伊佐治:おまけに声も低いし、全然かわいい要素が無くてコンプレックスでもありましたが、海外に行った時に自分のサイズが普通にあるって感動しました。色々見ているうちに、デザインが日本と違うって気づいて、もっとかっこいい感じだったり、自由だったり個性的だったり。言語的な違いもあるとおもいますが、話し声もわりと低い。それに女性の労働率や男女の役割分担の意識だとか社会的背景の違いもデザインに表れているんじゃないかと思いました。”かわいくて幼い”女性像があまり無かった。ああ、、女性自身だったり、周りが女性に求めている女性像が日本と違うんだって思いました。そこに居心地の良さを感じました。あと、自分の背の高さが目立たなくてそれも居心地が良かったです。笑 小坪:そんなことがあったんですね。日本ではかわいいが支持されますが、海外では大人っぽいセクシーさが支持される、みたいな違いもありますよね。 伊佐治:年齢に応じた美しさや良さを当たり前に受け入れている感じもします。海外のそういった価値観や、ファッションに触れることで、日本ではマイナスにさえ感じていた自分の背の高さや、かっこいいテイストが好きということが肯定的に捉えられるようになった気さえします。 小坪:求められた役をこなすのではなく、自分らしくいられるっていう感じですね。Vimodaのバッグはそういう雰囲気を感じますよ! 伊佐治:自分らしく輝く人に届けたい、そして持つ人をより素敵に見せてくれるというバッグを目指しています。 小坪:たくさんのバッグとお客様を見てきた伊佐治さんですが、印象に残ってるお客様っていますか? 伊佐治:歩いてきた瞬間にこれ!持って!って思って何も聞かず個性的な一点ものを提案したら、え!?なんで私の好みわかるの?好きだし似合いすぎる!って喜んでもらえて、それから何年もたった今でも連絡を取っています。そういう個性的なオーラを発してる方は、直感で買われることも多くて、そして面白い人が多いです。 小坪:私に勧めてくれたバッグも、ゴールド探してるって言ったのに、もはや何色でもないマルチカラーの一点ものでしたね。 伊佐治:笑。そうそう、要望無視。 小坪:でも勧められた瞬間これだー!って思った!新しい自分に出会ったし、どこへ連れて行ってくれるの?ってわくわくします。 伊佐治:良かった~私もこれだーー!て思いましたもん。 接客の時はお客様の要望に沿ったバッグを提案しますが、本当は『これ持ったら素敵なのに』と全然違うバッグをお勧めしたくなることが時々あります(笑)。私自身すごく直感派なので。あと、ご自身で思う”似合う”と、他人から見た”似合う”って違うことがありますしね。保守的になってこれは似合わないって自分で決めつけてるお客様、もったいないなぁって思います。なのでお時間など余裕がありそうな方には新しい提案をしてみることもありますね。ご自身では思ってもなかった魅力やおしゃれな感じに出会えることがあるので、バッグでそういう楽しさを感じてほしいと思っています。 小坪:確かに、自分では”これはどうかな、冒険かな”と思ったバッグが他人から見たらすごく素敵!って見えたり。自分の中で出来上がってしまった価値観を飛び出してみる楽しさをぜひ知ってほしいですよね! 伊佐治:洋服よりも、小物であるバッグのほうが挑戦しやすく失敗しにくいうえに、印象が一気に変わりますよー。 小坪:(伊佐治が持っているロイヤルブルーのクラッチバッグを見て)『例えば鮮やかなロイヤルブルーの服はなかなか勇気が出ないって人も、バッグなら取り入れやすいですね!しかもコーディネートのアクセントになる。 そういえば私最近青いものに目が行って、小物とか青を良く買います。バッグの色にも何か心理や価値観が出るんですかね。バッグって新生活とか、イベントとか何か節目に買うことも多いので、余計にその時の価値観が反映されてそうですよね。 伊佐治:急にとある色が気になって集めちゃうときってありますよね。自分のその時の求めてることや、エネルギーの状態に合う色を求めてるっていうことはあるかもしれませんね。エネルギーがあって元気な時、今から頑張るぞって時に赤を選んだとか、逆にエネルギーが低い時には強い色を選べなかったり、極端な話をするとメンタルシックの人が描く絵は色が無かったりするので。あとはこうありたいっていう願望の現れ。あ、青って初対面の人に好印象な色なので、初めましての時に迷ったら青いいですよ。信頼感、誠実な感じがあるので銀行など信用されたい企業に使われることも多いです。 小坪:えーそうなんですね!そういえば伊佐治さんは美大を出てますし、絵画から見る心理学の勉強もしてましたもんね。 伊佐治:はい。そういうのも手伝って、機能とか考えないで、デザインと直感だけであなたにはこれが素敵!ってバッグをお勧めしたい笑 小坪:お見繕い会したら面白い! 伊佐治:買わなくてもいいから。 小坪:ええ!?あ、でも私が二個買うって行った時も、こないだもバッグ買ってたから、よく考たほうがいいですよって言ってきましたもんね笑 伊佐治:同じ形の色違いを勢いで買おうとしてたから笑 バッグ屋だからもちろん買ってほしいですよ。でも後悔してほしくない。持って楽しんでほしいから。 買ってもらうことだけを考えずに、その人に合わせて両方お勧めすることもあるし、一個だけお勧めすることもあります。 あとは、思い切り個性的な一点ものなんかは売れなくても自分が好きだから置いておくんですが、99%の人が見向きもしなくても、不思議とピッタリの人のもとに行くので面白いし、見ててうれしくなります。 小坪:たくさんのお客様とバッグを見てきた伊佐治さんだからこそ、いい提案ができると思います。お見繕い会しましょ。楽しそう! 伊佐治:たかがバッグですが、されどバッグ。新しい発見があったり、自分の殻みたいなものが破れる可能性があると思っています。Vimodaを通して、自分らしさを肯定できたり、新しい自分に出会う、そんな体験もお届けしたいと思っています。
”直感で選ぶオンラインバッグお見立て会”の開催が決定しました。
2021.10.23(土) 〇15:00~
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